〈生物Ⅱ〉一遺伝子一酵素説
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生物Ⅱの、“一遺伝子一酵素説”の問題が分かりません。分かりやすく教えていただけませんか?
大腸菌の野生株は,ビタミンB1のない培地(最少培地)でも生育できるが,これにX線を当てて,ビタミンB1を培地に加えないと生育できない5種の変異株を得た。
その5種を,ビタミンB1の先駆物質であるP~Tを最少培地にそれぞれ単独に加えたもので培養したところ,〔図1〕のような結果が得られた。
(1)先駆物質P~Tほどのような順序を経て,ビタミンB1になっていくか。〔図2〕のビタミンB1の合成経路の(ア)~(オ)にP~Tの記号を入れて示せ。
(2)変異株Ⅰ~Ⅴは,それぞれどの遺伝子に変異が起こっているか。
(3)変異株Ⅳでは,培地にP~Tのどの物質が蓄積すると考えられるか。
【解答】
(1)(ア)S,(イ)R,(ウ)P,(エ)Q,(オ)T
(2)Ⅰ…遺伝子,Ⅱ…遺伝子E,Ⅲ…遺伝子B,Ⅳ…遺伝子D,Ⅴ…遺伝子C
(3)P
(1)(2)これはパズルみたいなものです。
この問いの中の変異株はいずれもビタミンB1を必要としますが、その先駆物質のどれならビタミンB1の代わりになるかを順を追っていけば答えは出ます。
・変異株Ⅱは、先駆物質Tのみ生育可能でそれ以外では生育できないので、TがビタミンB1の直前の物質でTを合成する能力を欠失しているとわかります。
・変異株Ⅳの生育パターンより、同様にしてTの直前の物質がQでQを合成する能力を失っていることがわかります。
・変異株Ⅴの生育パターンより、同様にしてQの直前の物質がPでPを合成する能力を失っていることがわかります。
・変異株Ⅲの生育パターンより、同様にしてPの直前の物質がRでRを合成する能力を失っていることがわかります。
ここまでまとめると、R→P→Q→T→ビタミンB1 という順番はわかりました。
また、変異した(能力を失った)箇所は、
…→(Ⅲ)→R→(Ⅴ)→P→(Ⅳ)→Q→(Ⅱ)→T→ビタミンB1 となります。
・変異株Ⅰは、ビタミンB1の代わりとなる先駆物質がないので、5種の先駆物質より前の段階の合成能力を失っていることがわかります。
・先駆物質Sは変異株Ⅰ~ⅤのいずれもビタミンB1の代わりにならないので、5種の変異株はビタミンB1までの合成経路のいずれかの能力を失っていることがわかります。これよりR,P,Q,TはSを経由して合成されていることがわかります。
つまり 最少培地の成分→(Ⅰ)→S→R … となるので
全体を総合すると
最少培地の成分→(Ⅰ)→S→(Ⅲ)→R→(Ⅴ)→P→(Ⅳ)→Q→(Ⅱ)→T→ビタミンB1
となります。
(3)変異株ⅣはPからQを合成する能力を失っているとわかったので、最少培地から物質Pまでの合成能力は持っていることになります。ですから、ビタミンB1を合成する代わりに物質Pまでは作っているものと考えられます。従って答えは P です。
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